自宅で暮らす要介護者が腹痛を訴えた場合、すぐに救急車を呼ぶかどうかの判断は家族にとって難しいものです。一時的には強い腹痛でも、時間の経過とともに自然と治まることがあるからです。
自然と治まる腹痛は、便秘でガスが溜まっていることが原因であることが多く、病気とは関係のない傾向があります。では救急車を呼ぶかどうかの判断は、どのように行えばいいのでしょうか。
見分けるポイントは腹痛が始まる過程です。突然腹部に強い痛みが走ったのか、それともじわじわとゆっくり痛くなったのか、要介護者に質問してみましょう。
突然痛くなったのであれば、腸の動脈閉鎖の可能性があります。痛む部位を確認し、1カ所に集中していたら注意が必要です。特定の部位が瞬間的に痛くなるということは、何からの病気にかかっているケースがあるので、医師の診断を受けましょう。
ゆっくり始まったのであれば、胆のう炎などの炎症性の病気の可能性があります。この場合は、救急車を呼ぶ前に要介護者の熱を測りましょう。細菌による炎症性の病気は熱が出ることが多いため、発熱の症状がある場合は炎症性の病気である可能性が高まります。
徐々に始まった腹痛で熱が出ていなければ、緊急性は低いといえます。また短時間でもいいので要介護者に立ち上がる余裕があれば、その場で足踏みをしてもらい、お腹の痛さに変化が表れるかどうかでも緊急性を判断することができます。
これらのチェックポイントは、救急車を呼ばなかった場合も外来として診断を受けた際に医師に伝えれば、スムーズな治療につながります。